19センター試験数ⅡBの分析

2019年センター試験数ⅡBの分析をしたいと思います。なお,選択問題は選択者が多いと思われる[第3問]と[第4問]とします。

第1問[1]三角関数の問題 倍角の公式や三角関数の合成を使って,最終的に三角方程式を解かせる典型的な出題。どこかで一度は練習したことのある問題であろうと思われ,易しい。
[2]指数・対数関数の問題 導きが丁寧で素直な問題だが,数式の展開力が若干必要で,難しいと感じる人もいるかもしれない。

第2問 微分積分の問題(1)3次関数の係数決定に関する典型問題。
(2)接線の決定とともに,曲線・直線で囲まれる部分の面積を求める問題。面積を求めるときは,導きに従うため,計算中心の出題。
(3)共通接線をもとに(2)の面積を,具体的に求める問題。これも導きに従って解くことになる。

第3問 数列の問題(1)Sn,Tnをn=2のときに具体化するだけであるが,後の設問のためにも,ともにnの式で表しておくほうが良いだろう。
(2)(1)でSn,Tnをnの式で表しておけば問題なし。
(3)与えられている漸化式をもとにして,新たな漸化式を作る。とにかくn番目とn+1番目の関係を求めるのだから,n+1番目の形を変形して,n番目の形を作り出すしかない。これが,意外と難しいのかもしれない。{bn}の漸化式は典型的な隣接二項間の漸化式。

第4問 ベクトルの問題(1)内積が0になるとき2つのベクトルのなす角が90度になることは常識レベル。
(2)内積を利用して,なす角を求めたり,ベクトルの大きさを求めたりする問題。問題を解く中で四角形ABCDが等脚台形であることをしっかり押さえよう。
(3)三角錐の高さを求める問題であるが,導きが丁寧で解き易いと思う。それを利用して,三角錐BOACの体積Vを求める。
(4)(3)で三角錐OABCDを二分割しているわけだが,(3)とは違う方の三角錐は底面積が2倍になるので体積は2V。よって,三角錐OABCDの体積はV+2V=3Vとなる。

[総評]全体的に,計算量が例年に比べ少なくなっているが,導きに従って進めるものの,展開力が試される部分もあり,平均点は昨年並みになると予想する。

19センター試験数ⅠAの分析

2019年センター試験数ⅠAの分析をしたいと思います。なお,選択問題は選択者が多いと思われる確率[第3問]と整数問題[第4問]とします。

第1問[1]数式処理の問題。平方根の中が平方完成できる式になっている場合,根号をはずすときには絶対値をつけなければならないことに注意。次に,絶対値の外し方が問題になっていて,その中の式が0になるときの文字の値を基準に場合分けをしてはずす。ただ,本問では,場合分けの基準が見えているので解きやすい。最後は,単なる1次方程式だが,場合分けの範囲に,求めた値が乗るかをチェックすることを忘れずに。
[2]論理の問題。(1)「AかつB」の否定は「(Aでない)または(Bでない)」であることに注意。(2)条件の必要性・十分性を問う典型問題。題材が整数の偶奇にかんするものなので,具体的な数を思い浮かべれば解きやすいと思う。また,必要性・十分性を考えるとき,もとの命題と同値な対偶命題を使えば,よりすっきり判断できる場合もあるので,対偶命題の作り方もチェックしておこう。
[3]2次関数の典型問題。ひねりもないので,素直に解けるはず。これが難しいと思う人は要注意。

第2問[1]三角比に関する典型問題。これも第1問[3]と同様に,素直に解ける問題。補角の三角比の値に注意。
[2]統計に関する問題。小問はいずれも計算しないで解ける。箱ひげ図の見方,平均値,分散,標準偏差の意味を理解していれば容易に解ける。(3)は,いわゆる偏差値を算出するときの変数変換がテーマ。平均値0,標準偏差1は常識レベル。最後の散布図を選ぶ問題は,分布が図4と同じになり,スケールが変わることと,標準偏差が1となることから判断する。

第3問 確率に関する典型問題。構造も簡単なものなので解き易いが,計算が面倒。時間に追われるかもしれない。ただ,例にもれず,前の設問の解答を順次使いながら解くので,どこかで計算ミスするとその後は全滅になるので注意が必要。

第4問 不定方程式に関する問題。整数解の一つを求めることが大切だが,逐次代入する方法では時間がとられてしまい,後半の出題でも時間に追われる。ユークリッドの互除法の手法を使って,不定方程式をもう少し小さな数のものに帰着させるのがよい。(3)が一見,前とのつながりがないように感じられるが,一番最後でしっかりつながってくる面白い出題。

【総評】全体的に,数ⅠAの典型問題で,解き易い内容になっている。ただ,計算が面倒だったりするので,日ごろから計算力をつける練習もすべきだ。平均点は去年並みか若干上回ると予想する。