[math]a÷b=\cfrac{a}{b}[/math] はわり算を分数になおす式で,小学校で学ぶ公式です。例えば [math]2÷3=\cfrac{2}{3}[/math] のようにします。
[注意]今後の説明において [math]a>0,b>0[/math] とします。
また,[math]\cfrac{a}{b}[/math] は [math]b[/math] をもとにしたときの [math]a[/math] の割合といういい方もします。[math]a[/math] が比べる量,[math]b[/math] がもとにする量です。また [math]a[/math] と [math]b[/math] の比は [math]a:b[/math] であり,比の値が [math]\cfrac{a}{b}[/math] であるともいいます。
比の値(割合)は,例えば次のような問題を考えるのに役立ちます。
【問題】バスケットのシュートを,あきらくんは 8 回して 4 回入りました。まゆみさんは 12 回して 9 回入りました。この結果からどちらがシュートがうまいと判断できますか。
[解答]あきらくんのシュートの入った割合は,
シュート数をもとにしたときの成功したシュートの割合で考えると
[math]\cfrac{4}{8}=0.5[/math]
同様に,まゆみさんの割合は [math]\cfrac{9}{12}=0.75[/math]
したがって,[math]0.5<0.75[/math] であるから,
まゆみさんがあきらくんよりシュートがうまいと判断できる。
【問題】A city の人口は 13,205人,B city の人口は 53,902人です。ある感染症に感染した人が A city では,5,507人,B city では 16,503人です。感染はどちらの city により広がっていると考えられますか。
[解答]A city で,人口をもとにした感染者の割合は
[math]5507÷13205≒0.4170…[/math] よりおよそ [math]0.42[/math]
同様に B city での割合は
[math]16503÷53902=0.306…[/math] よりおよそ [math]0.31[/math]
したがって,[math]0.31<0.42[/math] であるから,
A city が B city より感染が広がっていると考えられる。
分数 [math]\cfrac{a}{b}[/math] は,分子と分母に同じ数をかけてもその値が変化しません。例えば [math]\cfrac{1}{2}=1÷2=0.5[/math] ですが,この分数の分子と分母に同じ数 4 をかけても [math]\cfrac{4}{8}=4÷8=0.5[/math] となります。
よって, [math]m>0[/math] としたとき,2 つの比 [math]a:b[/math] と [math]ma:mb[/math] について
[math]a:b=ma:mb[/math]
が成り立つことになります。ところで比 [math]a:b[/math] において,先ほどの [math]m[/math] を [math]m=\cfrac{1}{b}[/math] とすれば
[math]a:b=\cfrac{a}{b}:1[/math]
が成り立ちますが,[math]\cfrac{a}{b}[/math] は [math]a:b[/math] の比の値になっています。すなわち [math]α:1[/math] という比において,その比の値は [math]α[/math] ということになるのです。
このことはとても重要で,比の値を利用した上述の【問題】のようなもの以外に,もっといろいろな量的関係を調べるのに役立ちます。その詳細は次の【数学Chips 02】においてお話ししたいと思います。