【分析】
第1問[文学的な文章]
宮下奈都『窓の向こうのガーシュウィン』(一部改変)からの出題。
1枚のCDをめぐる父と娘の心の交流を描いたストーリー。
「私」の気付きや心情の変化に注意しながら読むとよい。
問6はストーリー展開を押えないと安易な解答をしてしまいそうだが,
残りの設問はわかりやすく,得点しやすいだろう。
第2問[説明的な文章]
ちくまプリマ―新書『なんのために「学ぶ」のか〈中学生からの大学講義〉1』所収
小林康夫「学ぶことの根拠」(一部改変)からの出題。
問3は「自分ではどうしようもない宿命的なズレ」を感じる理由を答えさせる空欄補充問題。
傍線部のある段落にはズレの内容は書かれているが,理由は書かれていない。
次の段落の最後の「ズレを感じる理由だ」に注意。
この段落には理由となるものが繰り返し言葉を変えて出てくるので,
その中から二十字という字数をみたすものを選ぶ。
問4(2)は,現代の人間に「二重の学び」が宿命づけられている理由を
「ズレ」「自分」「世界」の3つの語句を用いて,二十五字以上三十字以内で
答えさせる問題。これは,傍線部の前後だけでなく,問題文全体の文脈から
その理由を考える必要があるため,難しい。
第3問[古文・漢文に関する文章]
古文:『徒然草』第百三十段 漢文:『荀子』からの出題
古文,漢文とも学問継続の不可欠さを述べたもの。
いずれの設問も易しく全問正解できる問題。
第4問[話すこと・聞くことに関する文章(作文を含む)]
山下洋輔,茂木健一郎『脳と即興性 不確実性をいかに楽しむか』(一部改変)
2人の対談の流れを押える問題。具体例とそれに関する対話者の考えを述べる形で対話が進み,
論旨も把握しやすい。
問4は「独創」の対義語を答える知識問題。「模倣」とは「まねること」で「独創」の対義語。
作文は,問題文および2つの資料から読み取れることを書く作文1と,
日本人は独創的・創造的か自分の意見を書く作文2の二本立てになっており,新傾向。
ただ,従来の作文も二段落構成で,最初の段落で客観的な分析をし,次の段落で
自分の意見を述べる出題もあったので,それを明確に二本立てにしただけとも言える。
【予想平均点】
35点~40点で昨年より高くなると予想される。
実際の平均点 31.5点
【対策】
今後は,与えれらた文章や資料をもとに,自分の考えを自分の言葉で述べる力を試される問題が増加しそうである。
日ごろから,「これは何だろう。」「どういう事だろう。」という問題意識をもち,
それを文章にする訓練をしておくべきである。