平成29年度県立高校入試分析と対策【国語】

【分析】

1問[文学的な文章]

宮下奈都『窓の向こうのガーシュウィン』(一部改変)からの出題。

1枚CDをめぐる父と娘の心の交流を描いたストーリー。

「私」の気付きや心情の変化に注意しながら読むとよい。

6はストーリー展開を押えないと安易な解答をしてしまいそうだが,

残りの設問はわかりやすく,得点しやすいだろう。

2問[説明的な文章]

ちくまプリマ―新書『なんのために「学ぶ」のか〈中学生からの大学講義〉1』所収 

小林康夫「学ぶことの根拠」(一部改変)からの出題。

3は「自分ではどうしようもない宿命的なズレ」を感じる理由を答えさせる空欄補充問題。

傍線部のある段落にはズレの内容は書かれているが,理由は書かれていない。

次の段落の最後の「ズレを感じる理由だ」に注意。

この段落には理由となるものが繰り返し言葉を変えて出てくるので,

その中から二十字という字数をみたすものを選ぶ。

4(2)は,現代の人間に「二重の学び」が宿命づけられている理由を

「ズレ」「自分」「世界」の3つの語句を用いて,二十五字以上三十字以内で

答えさせる問題。これは,傍線部の前後だけでなく,問題文全体の文脈から

その理由を考える必要があるため,難しい。

3問[古文・漢文に関する文章]

古文:『徒然草』第百三十段 漢文:『荀子』からの出題

古文,漢文とも学問継続の不可欠さを述べたもの。

いずれの設問も易しく全問正解できる問題。

4問[話すこと・聞くことに関する文章(作文を含む)]

山下洋輔,茂木健一郎『脳と即興性 不確実性をいかに楽しむか』(一部改変)

2人の対談の流れを押える問題。具体例とそれに関する対話者の考えを述べる形で対話が進み,

論旨も把握しやすい。

4は「独創」の対義語を答える知識問題。「模倣」とは「まねること」で「独創」の対義語。

作文は,問題文および2つの資料から読み取れることを書く作文1と,

日本人は独創的・創造的か自分の意見を書く作文2の二本立てになっており,新傾向。

ただ,従来の作文も二段落構成で,最初の段落で客観的な分析をし,次の段落で

自分の意見を述べる出題もあったので,それを明確に二本立てにしただけとも言える。

【予想平均点】

35点~40点で昨年より高くなると予想される。

実際の平均点 31.5点

【対策】

今後は,与えれらた文章や資料をもとに,自分の考えを自分の言葉で述べる力を試される問題が増加しそうである。

日ごろから,「これは何だろう。」「どういう事だろう。」という問題意識をもち,

それを文章にする訓練をしておくべきである。

平成28年度県立高校入試分析と対策【数学】

【分析】
第1問(計算)
正負の数・文字式の計算

第2問(小問集合)
方程式・多項式の展開,因数分解・比例・平方根・資料の整理・標本調査

第3問(平面幾何)
円周角の定理・平行線と辺の長さ

第4問(作図)
円外の特定の点を通る円の接線

第5問(方程式の文章題)
連立方程式

第6問(確率)
袋から玉を取り出すときの確率

第7問(反比例)
反比例のグラフと図形・格子点の数

第8問(平面幾何)
相似と図形

第9問(空間図形)
円錐・円柱

第10問(規則性の問題)
三角数・四角数・五角数

【対策】
基本的な問題を確実に得点できるように繰り返し練習する。
その上で,応用問題をすぐに解答を見るのではなく,
時間がかかっても自分であれこれ考えることが必要。
瞬発力(頭の回転の速さ)だけが数学の力ではない。

平成28年度県立高校入試分析と対策【社会】

【分析】
第1問
世界地理の問題。
ヨーロッパ・アフリカの気候や経済・産業に関する出題。

第2問
日本地理の問題。
本州・四国の各地域の気候・産業,
および地図の見方に関する出題。

第3問
日本の歴史に関する問題。
時代は,弥生時代から江戸時代まで。

第4問
日本および世界の歴史に関する問題。
時代は,中世から近代にかけて。

第5問
公民分野の問題。
憲法に関する出題。

第6問
公民分野の問題。
経済に関する出題。

第7問
歴史・公民の融合問題。
沖縄の歴史も含まれる。

【対策】
それぞれの用語を,ひたすら覚えるしかない。一朝一夕にはいかないので,
コツコツ繰り返しやるしかない。数年分の入試の過去問を使って,同じ
テーマや同じ時代の出題であれば,自分で統合して全体的なイメージを作るのも
一つの方法である。

平成28年度県立高校入試分析と対策【英語】

【分析】
第1問・第2問・第3問
リスニング問題。

第4問
会話文の空欄補充問題。
疑問詞・助動詞を選択させる問題である。

第5問
会話中の文の語句整序問題。
have to~,関係代名詞と現在完了形,分詞の後置修飾の知識が必要。

第6問
適語選択で,語形変化も問う問題。
形容詞の最上級,不規則動詞の過去形,be動詞の格変化の知識が必要。

第7問
会話文の文整序問題。
文の意味がわかるとともに,会話の流れを理解する必要がある。

第8問
会話文中の空欄補充問題。
会話がつながるように空欄を補充する文を選択する問題である。
空欄前後の文の内容を理解し,会話の流れを押える必要がある。

第9問
長文読解問題。

第10問
長文(会話文)読解問題。

第11問
英作文問題。
イラストを見て,登場人物の様子を英文で表現する問題と,
3コマ漫画の登場人物になって,英文で会話する問題。
採点基準が非常に厳密である。

【対策】
全体的に表現力重視の出題であるので,
文法知識をしっかりと身につけるとともに,
それを発話や受け答えに利用できる力を養う必要がある。

平成28年度県立高校入試分析と対策【理科】

【分析】
第1問
塩化アンモニウムと水酸化カルシウムを加熱し反応させるとアンモニアが発生する。
これに関して,実験装置,気体の性質,さらにアンモニア水溶液がアルカリ性を示すことを
問う問題。知識問題である。

第2問
顕微鏡の扱い,カエルの発生に関する問題。
生殖細胞の減数分裂と,遺伝に関する優勢の法則を理解し,
分離の法則にしたがい遺伝子型の組み合わせを表現できる必要がある。

第3問
惑星の年周運動に関する問題。
惑星を見るときの,太陽・地球・惑星の位置関係がイメージできる必要がある。

第4問
圧力と浮力に関する問題。
圧力は力がはたらく面積に反比例すること,
また,浮力の生まれる原理を知っている必要がある。

第5問
動物の分類に関する知識問題。
ヤモリは,は虫類,イモリは,両生類である。

第6問
A:電熱線の発熱量に関する問題。
B:家庭内の電気器具に関する問題。
Aでは電熱線に電流を流した時間と,水の温度上昇の関係をグラフにしたものを
読み取る必要がある。ただし,電熱線のワット数を与える電圧が明示されていないので,
問題に不備がある。100V-6Wなのか6V-6Wなのかわからないと問1の熱量の計算ができない。
Bは家庭の電気器具はすべて並列につながること,並列につなぐと抵抗がどんどん小さくなる
という知識が必要。

第7問
地震に関する問題。
与えられた説明から,A,B,C,Dの各地点の震央からの距離を求める必要がある。
また,(速さ)=(距離)÷(時間)が計算できる必要がある。

第8問
水や塩化銅水溶液の電気分解に関する知識問題。
塩化銅水溶液の電気分解では,陰極に銅が析出し,陽極に塩素が発生する。

【対策】
まんべんなく全ての分野の対策をしなければならない。同じ分野でも,形式の違う問題を何問も解こう。
とにかく,得点力は問題の演習力に比例するのが理科という科目。

平成28年度県立高校入試分析と対策【国語】

【分析】
第1問
[文学的な文章]
三浦しをん『風が強く吹いている』からの出題。
登場人物の複雑な心理の変化がなく,ストーレートな展開の文章で,
理解しやすい。
設問の選択肢も,まぎらわしいものがなく答えやすかっただろう。
語彙知識としては,この文章における「起爆剤」の意味や「値踏み」の意味が
わかっている必要がある。

第2問
[説明的な文章]
桐光学園+ちくまプリマ―新書編集部編『考える方法〈中学生からの大学講義〉2』(一部改変)からの出題。
問2の文法問題の「の」は「もの」と言い換えて考えるとよい。
文章の展開はA→Bで,AとBは逆のことを述べている。そして,AとBを
「一旦Aを認め,しかしBである」というようにつなげ,Bをより強調した構造になっている。
この構造が読めれば論旨は把握しやすいだろう。

第3問
[古文・漢文に関する文章]
古文:『万葉集』巻二十 防人の歌,漢文:王之渙『涼州詞』からの出題
古文,漢文とも親しい人との別れを歌ったもの。
先生と生徒の会話文も読解のヒントになっている。

第4問
[話すこと・聞くことに関する文章(作文を含む)]
藤原雅彦・小川洋子『世にも美しい数学入門』(一部改変)
2人の対談の流れを押える問題。数学や物理の難しい用語も出てくるが,
要は,数学の真理の不変性,真理に到達するための想像力について語っている。
問6は楷書に関する独立問題で,知識問題。
作文は,想像力の必要性について,論じさせ,
想像力を豊かにするためにはどうすればよいか考えさせるもの。
これは,本文から想像力の必要性を引き出し,論じるとしても
短い時間でまとめるのは少し難しいだろう。

【対策】
やはり,文脈のとらえ方が一番重要で,日頃から文章は,なんとなく読むのではなく,
語と語のつながり,段落と段落のつながりを考えながら読む必要がある。
そして,新聞のコラム等を利用して,語彙力を増やすことも欠かせない。
また,わからない言葉が出てきたら調べるくせをつけよう。