平成31年度沖縄県立高校入試分析と対策

【国語】

<構成>

第1問【小説】,第2問【説明文】,第3問【古典】,第4問【会話文・作文】で,構成に変化はない。

<難易>

選択問題は選択肢にまぎらわしいものが少なく,若干易化した。記述問題は,自分の言葉で答える問題2題とやや難。全体としては昨年並みの難易度と思われる。

<分析>

選択問題は,選択肢にまぎらわしいものが少ないが,キーワードを読み落とすと間違う可能性もあり,しっかり読む必要がある。

記述問題は3題。そのうち1題は字数制限をもとに本文中の語句を使って答えるもので和歌の引用の意図が読み取れれば簡単。もう2題は,自分の言葉で答える形式で,言葉の選び方のセンスが問われる。

<対策>

文章全体を方針もなく読むのでは,後で何度も読み返すことになり効率が悪い。ほとんどが,文に傍線をふって,それに関する設問となるので,傍線がふられていたらその都度問題文を確認し,傍線部分の全体構成の中での位置を確認しなが読むようにするのがいい。日頃から,比較的短い文章で書かれた問題にあたり,そのような読み方を練習しておくことが大切である。

<平均点予想>

31点~33点と予想する。(実際の平均点35.0点)

【理科】

<構成>

第1問【生物分野】,第2問【地学分野→化学分野】,
第3問【化学分野→物理分野】,第4問【物理分野→地学分野】,
第5問【生物分野】,第6問【地学分野→化学分野】,
第7問【物理分野→地学分野】,第8問【化学分野→物理分野】
で,問題の配列に変化があった。
ここで,【 】内の矢印は「昨年→今年」の変化を表す。

<難易>

記述問題は5題から1題と減少したが,問いの導入文が長い問題もあり理解に時間がかかるため,難易度は昨年並みになると思われる。

<分析>

前述したが,問いの導入文が長い問題もあり,問題文の設定を理解するのに時間がかかる場合もあったかも知れない。ただ,一旦その主旨が理解できれば標準的な出題がほとんどである。大問3のレンズに関する問題は,本質的な理解ができていないと解答するのが難しい。

<対策>

実験の目的,結果から結論付けられることなど,日頃の授業で意識して学習しよう。理科的な現象といえども,必ず言葉で表現できるものだから,それぞれの現象を言葉で説明できるようにしておくことが大切である。

<平均点予想>

24点~26点と予想する。(実際の平均点25.0点。)

【英語】

<構成>

第1問・第2問・第3問【リスニング】,第4問・第5問【空欄補充】,
第6問【語句整序】,第7問【文整序】,第8問【図表問題】,
第9問【会話文】,第10問【長文】,第11問【作文】で構成に変化はない。

<難易>

小問数が38問→40問と増加したが,図表問題,会話文,長文とも話題を追いやすく,さらに,作文は語群があるなどで書きやすい。昨年に比べ易化した。

<分析>

図表問題のBBQ PlanはPlanの違いが単純でわかりやすい。会話文は空手が題材で,話が追いやすいし,simultaneouslyという難しい単語の意味を問う問題も,選択肢が単純で正解しやすいだろう。長文はYouTuberに関する身近な話題であるが,将来の社会について述べていて,難しいと感じられたかもしれない。英作文は,ヒントがちりばめられていて,答えやすい。

<対策>

今後,話す・聞く・書くという総合力が試される出題がますます増加するだろうが,まずは設計図にあたる文法を確実に理解しよう。

<平均点予想>

28点~30点と予想する。(実際の平均点26.7点)

【社会】

< 構成>

第1問【地理分野】,第2問【地理分野】,第3問【歴史分野】,
第4問【歴史分野】,第5問【公民分野】,第6問【公民分野】,
第7問【公民分野】で構成に変化はない。

<難易>

小問数が48問→45問に減少した。難易度は昨年よりやや易化した。

<分析>

概ね,例年通りの出題であった。第4問の歴史問題が,新渡戸稲造個人の生涯とからませて,歴史を振り返るという面白い構成になっている。また,今年の出題では,複数の問題を一つの選択肢で選ばせる問題が昨年の6問から10問に増加した。この型の問題は,確実にわかる問題をヒントに,他の問題を考えることができる。そのため受験生にとっては正解選択肢が絞りやすくなるという特徴がある。

<対策>

やはり何と言っても暗記がものをいう科目であるから,受験勉強の中で,早いうちからコツコツ学習を積み重ねる必要がある。

<平均点予想>

30点~32点と予想する。(実際の平均点31.6点)

【数学】

<構成>

第1問【基礎的計算】,第2問【小問集合】,第3問【統計】,第4問【作図】,
第5問【場合の数・確率】,第6問【1次関数】,第7問【2次関数】,
第8問【平面図形】第9問【空間図形】,第10問【規則性の問題】

<難易>

問題数が42問→40問に減少した。内容的にも昨年より易化した。

<分析>

どの問題も定型的で,受験生が一度は解いたことのある問題のセットとなっている。第10問の規則性の問題は,文字を使って一般化するよりも,駒を一列に並べその下に裏返すしるしをつけながら,回数を追いかける図を作ると把握しやすい。

<対策>

日頃の教科書の学習に加え,問題集などで標準的な入試問題を解き,実践的な力をつけておきたい。

<平均点予想>

32点~34点と予想する。(実際の平均点28.9点)

「できる」「できない」の違い

予備校・塾で学習支援の仕事を30年以上続けてきました。

その経験から言えることは,

小中学校義務教育程度の学習内容は誰でも完全に習得できる

ということです。

ただ,一人一人の顔が違うように,

その習得にかかる時間がそれぞれの人で違います。

義務教育の期間は6+3の9年間と限定されるので,

習得時間の違いで,

成績の良し悪しが決められているのが現状です。

その認識のないまま

「自分は頭が悪いから」「やっても無駄」

と考える子供たちがたくさんいます。

実際は「できる」ことを「できない」と決めつけてしまうのは

悲しいことです。

人間は「できない」と思い込んでいることは

ほぼできません。習得の成果は心の問題も大きいのです。

「私は(勉強が)できない人間だ」と思っている子供には,

どこか1つの項目でも「できる」実感を持ってもらうことが

大切です。

その実感が,次の成果につながる。

逆に「頭がいい」「できる」と思い,また思われている子供は

「できる」ことはあたり前のことだという謙虚さが必要で,

「できる」先にもっと「できる」ことはないのかと

貪欲に挑戦する心が,

人生を豊かにしていくことにつながると思います。